お茶の旅
2026.05.01

プロの茶葉評価に使う器具とは?ISO 3103 の規格をわかりやすく解説

プロの茶葉評価に使う器具とは?ISO 3103 の規格をわかりやすく解説

みなさん、こんにちは。

茶葉マニアの Andy です。

プロの茶葉評価では、どんな器具が使われているか、気になったことはありませんか?

その器具がなぜそのように設計されているのか、考えたことはありますか?

実はその背景には国際規格があります。ISO 3103 です。

https://www.iso.org/standard/73224.html#lifecycle

この規格は 1980 年から存在し、2019 年に第 2 版が更新されました。

内容は「官能試験用茶液の調製方法」を定めたもので、

世界共通の茶葉評価における統一した抽出基準となっています。

茶葉評価といえば「お湯に茶葉を入れるだけ」と思っている方も多いかもしれません。

でも専門的な評価の世界では、

ポットや碗の容量、器具の重量まで、精確な規格が定められています。

今日はこれらの器具に込められた論理をご紹介します。



なぜ器具の標準化が必要なのか?

茶葉評価の最大の課題は、変数が多すぎることです。

同じ茶葉でも、異なるサイズのポットや異なる量のお湯を使えば、結果は大きく変わります。



ISO 3103 の核心的な考え方はシンプルです。

2 種類の茶を比較するためには、まったく同じ条件で抽出しなければならない。

そのための第一の関門が器具です。

ISO 3103 は、ティーポットも碗も白い磁器または釉薬がけの陶器を使用することを規定しています。

白い背景があることで、評価者は茶液の最も正確な色を見ることができます。

ISO 3103 が規定する 2 種類の器具サイズ

ISO 3103 は大型セットと小型セットの 2 種類を用意しており、

茶の種類や環境に応じて使い分けます。ただし、1 回の評価では同じセットを統一して使用する必要があります。


大型セット

- ティーポット:容量 310 ml(許容差 ±8 ml)、重量 200 g(±10 g)

- 碗:容量 380 ml、重量 200 g(±20 g)


小型セット

- ティーポット:容量 150 ml(許容差 ±4 ml)、重量 118 g(±10 g)

- 碗:容量 200 ml、重量 105 g(±20 g)


茶葉の使用量は、水 100 ml に対して茶葉 2 g で固定されており、

計量精度は ±2% とされています。

お湯はポットの口から 4〜6 mm 下まで注ぎます。



注ぎ口の鋸歯状デザインの機能

ISO 3103 のティーポットをよく見ると、注ぎ口の縁が一部鋸歯状(partly serrated edge)になっているのがわかります。

これは装飾ではありません。

注ぐときに茶葉をポット内に留め、茶液だけを鋸歯の隙間から流し出すための設計です。

注ぎ終えたら蓋を裏返し、

抽出後の茶葉(葉底)を蓋の上に移して空のポットの上に置き、評価者が観察できるようにします。



白い器具の重要性

ポットも碗も、ISO 3103 は白い磁器と明確に指定しています。

磁器の素材は茶液の風味に影響を与えません。

参考リンク:

https://www.yoshantea.com/pc/news.php?id=2005305ed1a4aa787c4&lang=zh-tw#gsc.tab=0

白い背景があることで、評価者は茶液の色の深さや透明度、

そして葉底が開いた後の色の均一性を正確に判断できます。

色のついた器を使うと、視覚的な判断に影響が出ます。

この設計の論理は、日本の審査碗(拝見茶碗)の考え方とまったく同じです。



評価用水の重要性

ISO 3103 は、水質が茶液の風味と色に影響することを説明しています。

そのため、評価に使う水は、茶葉が実際に飲まれる地域の水と同じものを使うのが最善です。

地域をまたいで比較する場合に近い水が見つからないときは、蒸留水またはイオン交換水で代用できます。

ただし、ミネラル塩自体が茶の表現に影響するため、結果は通常の飲料水で淹れた場合と異なることを理解しておく必要があります。

例えば、焙煎した茶葉は蒸留水で淹れると風味が良く感じられますが、

山の湧き水で淹れると、炭火のフレーバーが強く出ることがあります。

また、海面での水の沸点は 100°C ですが、

標高の高い場所で評価を行い、沸点が著しく低くなる場合は、評価レポートにその旨を明記する必要があります。

参考リンク:

https://www.yoshantea.com/pc/news.php?id=2501036777a636ce300&lang=ja#gsc.tab=0



スリランカのやり方

スリランカ茶葉局(Sri Lanka Tea Board)の公式記録によると:

セイロン茶の専門的な評価では、1 サンプルあたり茶葉 2 g を沸騰した水 150 ml で抽出し、

4〜5 分間浸漬した後、白い磁器製の品茗カップに注いで評価します。

この 150 ml という水量は ISO 3103 の小型ポットのサイズの考え方に対応していますが、

使用する器は取っ手付きのテイスティングカップ(tasting cup)であり、

ISO 規格で定められた口径の広い評価碗とは異なります。

評価の流れとして、評価者は立ったまま作業し、

まず乾燥した茶葉の外観、大きさ、色を観察し、

注湯後は葉底の広がり方を観察、

次に香りを嗅ぎ、最後にスプーンで茶液を勢いよく吸って、

舌全体に液体が触れるようにします。

スリランカ茶葉局には専任の Tea Tasting Division が設けられており、

各ロットのセイロン茶のオークション前の品質管理と輸出前の審査を担っています。


SRI LANKA TEA BOARD:

https://srilankateaboard.lk/ceylon-tea/ceylon-tea-and-the-environment/the-black-art-tea-tasting/



日本のやり方

日本業界の評価慣例によると:

日本の煎茶審査でも同様に白い「審査碗(拝見茶碗)」が使用されており、白色であることが色の判断をより精確にします。

評価条件は熱湯 200 cc に対して茶葉 3〜4 g で、水量は ISO 3103 の小型セットと大型セットの中間に当たります。

日本の審査項目は以下の 5 つに分類されます。

- 形状(茶葉の外観)

- 色沢(色と光沢)

- 水色(茶液の色)

- 香気(注湯直後に嗅ぐ。冷めると香りが飛びやすいため)

- 滋味(スプーンで吸って評価)

ウーロン茶や紅茶などの一部の茶種については、葉底(抽出後の茶葉の形態)の評価も加えられます。

特筆すべきは、日本には「全国茶審査技術競技大会」という競技会があり、

評価者は外観と茶液だけで産地、品種、摘採時期を識別することが求められます。

最高段位は九段で、全国取得者は約 20 名ほどという、非常に厳格な技術認定体系となっています。


静岡茶市場:

https://chaichiba.co.jp/general/hyouka/


東京都茶協同組合:

https://www.tokyo-cha.or.jp/article/how-to-review-in-the-tea-show.html


ISO 3103 はこの方法を国際規格として文書化し、世界中の茶葉評価に共通の基準をもたらしました。


この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。

また次回お会いしましょう。


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