みなさん、こんにちは。
茶好きの Andy です。
紅茶を淹れてしばらく置いておくと、
最初は透き通っていたお茶が、だんだん濁ってくることに気づいたことはありませんか?
今回は、この現象が起こる理由についてご紹介します。
なぜ紅茶のお茶液は濁るのか?
お茶液が濁るのは、茶葉の中の化合物が冷却される際に重合反応を起こすためです。
紅茶の製造過程では茶葉が完全発酵し、カテキン(Catechins)がテアフラビン(Theaflavins)とテアルビジン(Thearubigins)に変換されます。
これらの成分はお湯に溶けると、透明な琥珀色のお茶液になります。
しかし温度が下がるにつれて、茶葉中のカフェイン(Caffeine)と結合し、大きな分子複合体を形成します。
この複合体が光を散乱させるため、お茶液が不透明に濁って見えます。
この結合は非共有結合性の分子間力(Intermolecular Forces)によるもので、可逆的な現象です。
再び加熱すれば複合体は分解され、お茶液は透明に戻ります。
紅茶のクリーミング現象とは?
この現象の正式名称は「コールドヘイズ(Cold Haze)」または「クリーミング(Creaming)」といい、
日本語では「茶クリーム(Tea Cream)」とも呼ばれます。
この現象は茶葉の品質に問題があることを示すものではありません。
むしろ、お茶液のポリフェノール含有量が豊富で、濃度が高いことを示している場合が多いです。
クリーミング現象に影響する要因は?
クリーミング現象の強さには、いくつかの要因が関係しています。
抽出濃度
濃く淹れるほど、またお茶の葉が細かいほど、テアフラビン・テアルビジン・カフェインの量が多くなり、クリーミング現象が顕著になります。
水の量を少なくしたり、浸出時間を長くしたりするとクリーミングが起きやすくなります。
逆に薄く淹れたお茶は、冷やしてもほとんど濁りません。
品種
紅茶の品種によってクリーミングの程度は大きく異なります。
大葉種の紅茶(アッサムやセイロンなど)はポリフェノール含有量が高く、クリーミングが特に起きやすいため、アイスティーやミルクティーのベースとしてよく使われます。
一方、小葉種の紅茶はポリフェノールが比較的少なく、クリーミングが起きにくい傾向があります。
臺灣の日月潭産紅玉(臺茶18号)もポリフェノールが豊富で、同様にクリーミングが起きやすい品種です。
クリーミング現象が及ぼす影響
クリーミング現象が起きると、お茶液がミルクティーのような色になります。
缶飲料やボトル飲料でこの現象が起きると見た目が悪くなるため、
飲料メーカーはレシピ開発と品質管理の段階でこの現象への対策を講じる必要があります。
一般的な対策には以下のものがあります。
- ポリフェノール総量の測定
- 茶液濃度の上限値の設定
- 抽出時間・温度・茶葉の種類を調整してポリフェノール濃度を制御
タンナーゼ酵素の活用
研究により、タンナーゼ(Tannase、EC 3.1.1.20)という酵素を使うことで、クリーミング現象を効果的に抑制できることがわかっています。
タンナーゼは茶液中のガレート型ポリフェノールを分解し、低温での溶解度を高めます。
Chandini et al.(2013)が『Critical Reviews in Food Science and Nutrition』に発表した総説論文によれば、
タンナーゼは即飲用紅茶飲料の製造においてクリーミングを抑制するために最も広く使われている酵素です。
また、2023年に『Frontiers in Sustainable Food Systems』に掲載された研究では、
6.0 U/mL のタンナーゼで 35°C・3 時間処理することで、タンニン含有量を最大 55% 低減でき、茶クリームを効果的に溶解できることが示されました。
まとめ
紅茶がミルクティーのような色になっていても、心配する必要はありません。
これは自然な化学現象であり、品質の劣化ではありませんので、安心してお飲みいただけます。
ただし、お茶液が半透明で濁っていて、かつ粘度が増したり異臭がしたりする場合は、
細菌が繁殖している可能性があるため、飲用はお控えください。
茶葉を長時間または一晩置いた場合に飲めるかどうか、詳しくはこちらの記事をご参照ください。
「茶葉を一晩でも長く蒸らした場合、飲んでも大丈夫なのか?」
https://www.yoshantea.com/pc/news.php?id=230512645df53b9d5f6&lang=ja
この記事がみなさんのお役に立てれば幸いです。
また次回お会いしましょう。
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