皆さん、こんにちは。
茶マニアのAndyです。
烏龍茶の製造において、最も難しい工程の一つが、茶葉の発酵(酸化)度の見極めです。
お茶を学び始めた頃、父はいつもこう言っていました。「嗅いでみて、草の青臭い匂いがしたらダメだよ。」
当時の私はとても不思議に思っていました。その香り、むしろ良い香りで、少し甘みさえ感じるのに、なぜダメなのか。
鼻で嗅ぐ以外にも、実は目で見て酸化度を判断する、とても直感的な方法があります。
今日はそのテーマについてお話しします。
茶葉の発酵(酸化)とは?
烏龍茶の「発酵」とは、茶葉の細胞が揉捻・撹拌によって破壊され、細胞液が空気に触れることで、
ポリフェノールオキシダーゼ(polyphenol oxidase)の触媒作用により、
カテキン(catechins)が酸化重合し、烏龍茶質(Theasinensins)、テアフラビン(theaflavins)、テアルビジン(thearubigins)
などの色素物質が生成される過程を指します。
これにより、茶液の色・香り・味が変化します。
この過程の正確な学術用語は「酸化(oxidation)」ですが、業界では慣習的に「発酵」という言葉が使われ続けています。
なぜ機器で判断できないのか?
現代の技術をもってすれば、機器でリアルタイムに酸化度を測定できるのではないかと思う方もいるでしょう。
理論上は可能ですが、実際には非常に困難です。
酸化反応の速度は非常に速く、また各バッチの茶葉によって含水率・葉の厚み・温度・湿度の条件が異なるため、機器がその変化にリアルタイムで追いつくことは難しいのです。
それ以上に、「香りの変化」と「葉の形態変化」が発するシグナルは、いかなる機器よりも速く、直接的です。だからこそ、熟練した製茶師の五感は、
今日でも最も信頼できる判断ツールであり続けています。
発酵(酸化)度を判断する方法にはどんなものがあるか?
香りで嗅ぐのが最も直感的な方法です。
「青草の匂い(菁味)」から「成熟した葉の香り(青味)」へ、そして「柔らかな花香(清味)」
へと変化し、最終的に甘い香り・蜜の香り・フルーティーな香りが現れると、酸化が深まったサインです。
茎のしわ具合の観察:茎の表面が張り詰めた滑らかな状態から、縦方向のしわが現れるようになります。
これは葉から茎へ水分が再分配されている(行水)サインであり、発酵過程における重要な指標です。
茶葉全体の形状の観察:葉縁(leaf margin)に赤みが現れ始め、葉の色が鮮やかな緑から深みのある緑へと変化します。
葉と茎の接合部の観察は、目視で判断できる方法の一つであり、本記事の中心テーマです。
目視で発酵(酸化)度を判断するには?
製茶の現場でベテランの師傅が最もよく観察する部位は、葉柄(petiole)と茎(stem)の接合部です。
この接合部は、酸化が進むにつれて順番に色が変化していきます。
最初は淡いピンク色または薄い赤色から始まり、次第にローズレッドへと深まり、最終的には深い紫紅色へと変わります。
色が濃くなる前に、酸化がピークに達したサインと判断し、すぐに殺青(kill-green)を行って酸化を止める必要があります。
このタイミングを逃すと、葉が茎から離れてしまいます。
この変色した部位には、業界で特別な名前があります。それが「鳩の目(pigeon's eye)」です。
鳩の目の科学的原理:アブシシン酸(Abscisic Acid, ABA)
鳩の目の出現は、植物ホルモン「アブシシン酸(abscisic acid、略称ABA)」と深く関係しています。
ABAは、乾燥や葉の損傷などのストレス条件下で植物が合成するシグナル分子であり、
その主要な役割の一つは葉の離脱(abscission)の促進です。
製茶過程において、茶葉が撹拌・摩擦によって損傷を受けると、
葉柄基部の離層帯(abscission zone)でABA濃度が上昇し、
離層帯の細胞壁分解が活性化されることで、葉と茎の接続が徐々に緩んでいきます。
同時に、カテキンの酸化によって生成された色素物質が葉柄基部に蓄積し、
アントシアニン(anthocyanins)などの色素成分と相まって、この部位にピンクから紫への色変化をもたらします。
これが私たちの目に映る「鳩の目」です。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。
また次回お会いしましょう。
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